体内時計が食事によって進む?!

毎日新聞より。7 月 25 日付の記事。

体内時計:炭水化物減らすと4〜8時間進む

 マウスに、炭水化物を極端に減らし脂肪分を増やした餌を食べさせると、体内時計が4〜8時間程度進むことを産業技術総合研究所茨城県つくば市)の大石勝隆・生物時計研究グループ長らが見つけた。将来は、食事の工夫で時差ぼけを改善したり、眠りの時刻がずれて夜更かし・朝寝坊になる睡眠障害などの治療につながる可能性があるという。
 米科学誌動脈硬化血栓症、血管生物学」電子版に24日、論文が掲載された。
 炭水化物を極端に減らした食事をとると、エネルギーを脂肪から作り出すため、体内の脂肪分解が進むことが知られている。
 以前から脂肪分解と体内時計の関係を調べてきた研究チームは今回、「炭水化物0.73%、脂肪94.8%」という特殊な餌(ケトン体食)を作り、マウスにこの餌だけを14日間、食べさせた。その後、体内時計遺伝子の一つで、24時間弱の周期で働きが変わる遺伝子「ピリオド2」の働きを調べた。
 すると、働きが最も強まる時刻が、通常の餌を食べたマウスより4〜8時間早まり、変化の周期も15〜20分短くなった。一方で、血液中で血栓を溶かしにくくする成分「PAI−1」の濃度が、通常の3〜4倍になっていた。
 大石グループ長は「今後、体内時計を調節するメニューが開発できるかもしれない。しかし、心筋梗塞(こうそく)などを起こしやすくなる可能性もあり、注意が必要だ」と話している。

元論文はこちら。ご家庭では abstract しか取得できません。ATVB って日本語で言ったらなんか重厚感が増しますね。
http://atvb.ahajournals.org/cgi/content/abstract/ATVBAHA.109.190140v1



・・・アブストだけ読むと PAI-1 という遺伝子の発現リズムを変えるという点に注目しているようです。


気になること:

・時計遺伝子 Per2 の発現リズムを調節する食事因子とメカニズム。
・PAI-1 発現量の経時変化と時計遺伝子発現の経時変化の関係。相関とか。

原著を読むしかなさそうです。生活習慣病のような、代謝性疾患の研究といえば、血漿脂質値あるいは血糖値などを下げる!という研究が多かったように思いますがこういう内臓脂肪?と相関するマーカーを測定するってのもあるんですね。食事のメニューで体内時計を調節する代償が心筋梗塞リスクではおそろしいですが。



時計遺伝子の発現リズム?の変化が生体内で何を引き起こすのか。どんな遺伝子群の発現リズムを変化させるのか。そのへんがおもしろそうだなと思いました。



・・・原著の conclusion からしても、新聞記事の体内時計おしはズレてると思いますけれど(笑)