東京モーターショー 2009 雑感

高校時代の友人から突然のメール。「彼氏が来てるんだけど一緒にモーターショーいかない?」(※友人は女性)これ、行ってもいいのか?よくわからなかったけど一路海浜幕張へ。その彼はクルマに大変詳しく、ちょっとしたクルマ好きのぼくにとって、彼に会えたことはとてもラッキーだった。


2007 年、就職活動の合間に行って以来のモーターショー。2 年前は日産 GT-R を見れる&乗れる など、目玉ともいうべきイベントがあっため比較的盛況であった。最近の自動車業界についてあまりキャッチしていないけれど、あまり景気のいい話は聞いてない。今年幕張に行けば見ることの出来るもの・・・と言われて、思い浮かぶものはトヨタ FT-86 concept くらいのものであった。


FT-86 concept. あの往年のライトウェイトFR AE-86 を意識させる名前だ。

やはりこのクルマに対する注目度は高かったようで、いかにもクルマ好きそうな若い、あるいはヤングアットハートなおっちゃん層が群がっていた。ぼくもその一人。ごらんの様にリアビューはちょっと重そうな感じ。このままではフェアレディの廉価版にたいなポジションになってしまいそう。マツダロードスターも肥大化路線を進んでしまったので、ここは「less is more」な感じで上市をしてくれたら、差別化もできるし、車を走らすのが好きな層は頑張って買おうと思うんじゃないだろうか。



次に LEXUS の高級スポーツ路線。お金をお持ちそうなおじ様が注目していて、マーケ的には狙い通りのところにアピールできたのではないかと感じた。

おじさまのハートを掴めたら、あとは家庭の大蔵大臣とご相談ください、といったところだろうか。僕には永遠に手の届かない代物だ。お金があったら欲しいのはどっちかといえばロータス



ホンダのブース。メッセージ性を強く主張した形で、ショーという部分を意識されたのかなーと思った。贔屓目もあるのかもしれないけど、見せ方に拘っていた。

個人的な興味は CR-Z コンセプトをどういう形で持ってくるか、その一点だった。CR-Z とは昭和・平成初期を駆け抜けたライトウェイト FF スポーツのはしり、CR-X を意識したネーミングである。

バックショット。ガラスで抜いてるハッチの感じとか、まさに CR-X そのものだ。

サイドビューも完全に CR-X とダブる。
これが CR-X。昭和車でこのデザインは先を行き過ぎたか。今街を走っても古さを感じさせないと思う。ゴキブリっぽくてよく曲がる。

ヨーロッパ仕様のシビックタイプ R も出展されていた。こちらも FT-86 と同様の客層から注目されていた。日本に入ってくるのは来年だったっけ、基本的には DC5 と同様な感じなんだろうか。

前から。オデッセイホットハッチって感じ。

伝統の R の紋章は健在だ。時代は厳しいけど、頑張ってほしい。



マツダは例年、とがったエクステリアのコンセプトをだしている印象がある。2 年前はサイドステップのあたりに波のようなうねりのあるやつが出されてた。名前は思い出せないけど・・・。今年はこんなコンセプトだった。女性受けがよかったように思う。

あと、マツダ直噴エンジンを押しているらしい。GDI の三菱とか、他社もいろいろやっていたらしいけど、なんで?という状況らしい。ぼくは詳しくないのでわからない:笑



続いてはスバル。目玉が見えなかった。強いて言えば GT マシンのレガシイが展示されてた。これはマクラーレンGT みたいでかっこよかった。




海外勢が軒並み撤退の中、英国バックヤード系であったロータス出展にはちょっとおどろき。エリーゼは売れてるのかな。エンジンがトヨタ製とはいえ、希少なライトウェイト、いつかは乗りたいクルマのひとつである。


価格。天地がひっくり返っても買えない。

エリーゼ艶消し黒。びっくりするくらい曲がるらしい。乗ってみたい。


興味深いイベントとして、歴代カーオブザイヤー授賞車の展示があった。子供時代に最先端だったスポーツカー。当時はバブル絶頂期の研究開発費が投入され、各社とも今ではありえないパッケージでクルマを作っていた。そのときの基本設計は後の10-20 年使われたりしているから、バブルが自動車産業を急成長させる原動力にもなったと言えるのでは、と考えている。

なつかしの AW11 型 MR2。Midship Runabout 2-sheeter の略というのがなんとも。。



実際にショーに行ってみると、2 年前よりも海外メーカーの撤退が目立ち、部品メーカーやアフターパーツメーカーがそこに置き換わる形であった。会場のあきを埋めるために、最終的なブース代はかなり下がったのではないかと思う。正直日系メーカーも、尖ったコンセプトや未来を予感させてくれるものはそれほど多くなく、厳しい台所事情を感じさせるものであった。極端な場合、これ車両展示販売会じゃね?みたいなメーカーもあった。


今年のテーマは、時代の流れであろうか、環境に訴求するものが多いと感じた。それは燃費性能であったり、リサイクル可能な車体、部品であったり、技術として非常に先進的なものだったと思う。一方で、そういった素晴らしい技術をショーでアピールすることは非常に困難なのかもしれない。日本のお家芸である効率化・合理化を前面に押し出して集客するには、ショーの形式をいままでのものから変える必要があるのかもしれない。

例えば、横浜ゴムADVAN)だっかオイルメーカーだったか、忘れたけど、転がり抵抗の低減で力を入れなくてもすいすい進む、みたいな科学教室っぽい催しをやっていて、家族連れで賑わっていた。こういうのがヒントになるかもしれない。車両メーカーとしては難しいが。。。


自動車産業はここまでの日本を支えてきた基幹産業であった。その業界も、現在かなり苦しんでいる。(インドや中国の価格破壊や規制のゆるさといい、どこかの業界と構造が似てきつつある。)環境技術などで一歩突き抜けて、子供に夢を与えるクルマをつくってほしいなーと、昔クルマ夢を見せてもらった者として、切に思います。がんばれニッポン。