入ってはいけない研究室を見極める 5 つのポイント

嗚呼気づけば師走。そろそろ学部 3 年生は来年度所属する研究室を決める時期ですね。僕のいる研究室でも 3 年生の見学者が来たりしています。いまどきの学部生にとって、研究室選びの基準って何でしょう?自分のときどうだったか思い出してみるのですが、よく覚えていません。どうしてもここがいい!みたいなところはなかったどこにいっても面白いことができるんじゃないかなーなんて漠然とした考えしかなかったように思います。よく言えば planed happenstance、悪く言えば主体性のない感じでした。今は縁あって finance 的に tough な labo (笑)に在籍しているのですが、後悔はしていません。いろんな意味で勉強になっています・・・ただ残念なことに、奴隷のような生活に嫌気がさしてドロップアウトした同級生や、これはほんとに自然科学っていっていいの?みたいなとんでもないことをやってて鬱な子の話も聞きます。あくまで伝聞ですが。そうなると、僕はたまたま環境にフィットしただけかもしれません。今の教育課程では、理系学部生は研究室に所属せにゃならんので、何らかの形で時間、金銭的投資に見合う選択をできればいいのになと考えます。そこで、卒業直前の今だからこそ考えられる研究室選びの指標、特に、行ってはいけない研究室を見極めるポイントをここに晒しておきます。一応ピペット土方とも揶揄されるところの我々バイオ系研究室に関して述べます。あくまで私見


A)就職希望の場合
・時間的拘束がきつすぎる
バイオ系学士で研究開発系の求人は殆どないし、就職希望の場合はその他のフィールドで活躍の場を求めることになるのかなと思います。ネットを使った情報収集だけでなく、足で稼ぐ、ヒトに会う、インターンに参加するなどの時間が必要になります。が!一般にバイオ系研究室(特に生き物を扱う場合)の時間的拘束がヒジョーに厳しいです。生き物最優先、自分の行動の律速段階になりますので。極端な場合、就職希望の学部生がガチで就活させてもらえない状況のラボもあると聞きます。どうせ一年だけだし興味あることをしたいなー、という場合も、所属する先輩に時間的拘束、就活できるかは確認したほうがいいです。就職とはカンケーないですが、バイトできるかどうかが死活問題の場合もここは重要です。僕の場合はレギュラーのバイトは学部生までしかできませんでした。


B)進学希望の場合
・研究室の資金繰りがやばい
少なくとも進学希望の場合、修士で 2 年間、博士課程だとさらに 3 年間研究室に所属することとなります。少なくとも 3 年間の研究期間があるわけですが、あなたが志望する研究室、ホントに研究できますか??格差社会がどうのこうのと叫ばれる昨今、科学研究の世界にも露骨な格差があります(と末端の修士が感じるくらいですから、きっと間違いない)。科学研究費はどのくらい割り当てられていますか?企業とのコラボ状況とか、内容は?(外注のような感じで企業のデータとりをしてるだけ、とか)実は秋から研究とまってるとか、借金があるとか、そんなとこに入ったら何もできなさすぎて泣きが入ります。研究費って年間どのくらい使っているんですかー?と何も知らないふりをして先輩に聞いてみるといいかもしれません(笑)


・論文数がすくない
資金の有無と論文数がどのくらい相関するか知りませんが、ホントに研究できるお金があるかのひとつの指標になるかと思います。PubMed あたりでスタッフの名前を検索したら参考になると思われます。論文の実験内容のことがほんとに出来るかとか(設備的に)、最近出た論文の著者(学生の名前)はいつの卒業生か、とか。過去の学生の名義が多い場合は資金が多かった時期のデータを出して発表してるんじゃないかとか。またお金があっても論文出てないという場合もあるようです。ビッグジャーナル狙いの研究室とか。この場合、豊富な資金を使ってガンガン学生に実験させるが、うまくいかなかったらそれで終了。テーマと一緒に学生を心中させるようです(特にDに多いらしい)。もともと研究ってばくちの要素が強いですから、ある意味仕方ないですが・・・


・教授の年齢が定年近い
ボスが変わるとスタッフががらっと変わったりすることがあります。退官する教授が、開いたポストに新教授をドクターもろとも引き抜いてきて、研究室の追究していくテーマや方針が一気に変わるなど。人事の大異動があると現場の学生は結構大変なようです。スタッフも学生も鬱になったりして凄惨な状況を知っています。これは在籍年数が長い学生であるほど影響大。ここは僕も考慮しました。


・学生のその後が不明
学部生は学部全体が管理するようですが、院生は研究室の指導教官が管理するということになっているらしいです。よって、精神的に病む、行方不明などで放校になってても表沙汰になりません。これもしっかり押さえたいポイントです。ちなみにそういう研究室の場合は教室員の学生もホントのことを教えてくれないケースがあるので、近隣の研究室などにやはり何もしらないフリをして聞くのがいいと思います。



・・・ざっとこんな感じでしょうか。結局のところ、情報収集をしっかりして自分のしたいこととその研究室の実態を考慮して、どこにいくか判断できるといいんじゃないかなと思います。客観的に見て環境悪いような研究室でもしっかり結果だしてる同級生もいるし、資金難という状況にストレッチされながらうまくやってる子もいるし、結局人による、と言えばそれまでです。いざ配属されて、ここではどうしても無理だと思えば環境を変えるのもひとつの手なのでしょう。何かの参考になれば幸いです。