製薬会社がiPS 細胞に関する特許を出願していた件

Yahoo!ニュース、サイエンスのカテゴリより抜粋。昨年あたりに話題になっていた、製薬会社がiPSの特許を出願していた件の続報と思われます。

バイエル社、京大と別のiPS細胞作製法を特許出願
1月5日12時44分配信 読売新聞


 様々な臓器や組織の細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)について、京都大の山中伸弥教授らとは別に、ドイツの製薬大手バイエルが日本で出願した特許の内容が明らかになった。

 京大の作製方法とは、使用する細胞の種類や遺伝子の組み合わせが違い、専門家は特許成立の可能性を指摘している。

 バイエル社は2007年6月15日付で出願。京大が大人の成熟した細胞を使うのに対し、人の新生児のへその緒や皮膚などから未熟な細胞(幹細胞)を選び出して使う。政策研究大学院大の隅蔵康一・准教授は「基盤特許としての京大の優位は揺るがないが、バイエル社は様々な作製法を示しており、特許が成立する可能性もある」としている。

この記事によると、細胞の作製方法が違うために特許が成立するのでは、という指摘です。iPS細胞の特許に関する解説は毎日jpより抜粋。

iPS細胞研究は難病治療の切り札となる可能性を秘め、創薬や新しい医療技術への応用が期待される。ただし、産業応用の時点で他国や一企業に実用化に不可欠な特許を押さえられていると、利用に膨大な特許料の支払いが必要になる可能性がある。iPS細胞にかかわる特許の取得競争に注目が集まるのはこのためだ。

 京都大は昨年9月、ヒトを含むiPS細胞作成にかかわる世界初の特許を取得したと発表したが、特許の範囲は作成に遺伝子を四つ使う手法に限定されており、ヒトに関しても「iPS細胞のようなものができた」との段階にとどまっていた。

 一方、バイエル・シエーリング・ファーマ社の特許は、出願時期は京都大(05年12月)より遅いものの、ヒトの皮膚細胞から作ったiPS細胞の多能性を確認し、作成に使う遺伝子を三つに減らしたり、化合物と置き換えるなど新しい手法を含んでいる。

 ただしこの特許が産業応用で威力を持つかどうかは現時点では不透明だ。京都大と異なる作成法は、京都大も含めてさまざまな研究機関が模索し、論文が発表されている。それらの特許も発表前に出願されているとみられる。

 日本は再生医療分野の特許対策で「オールジャパン体制」を掲げ、京都大も特許管理の会社を設立するなど、従来にない総合的な体制作りを進めている。日本の特許戦略の成否が明らかになるのは、これからだ。


だそうで。特許出願のきっかけとなった成果は、今はなきバイエル薬品神戸リサーチセンターの成果。

バイエル薬品、神戸リサーチセンターを年内に閉鎖 活動中の再生医療研究を導出


Tokyo, Sept 3, 2007 - (JCN Newswire) - 本日、バイエル薬品株式会社(本社:大阪、社長:ジャン-リュック・ロビンスキー)は、神戸市内に所有する研究所を年内に閉鎖すると発表しました。この決定により、同研究所の従業員24名が影響を受けます。

この背景には、バイエル社が今年6月19日に発表した、研究領域の「選択と集中」があります。今後、バイエル・シエーリング・ファーマ社は、がん領域、心疾患、画像診断薬、婦人科領域の4領域に同社の研究活動を集約します。再生医療研究は高い将来性を秘めていますが、同社の研究戦略の方向性からは除外されました。
「バイエルとシエーリングの統合により、創薬研究の方向性をバイエル・シエーリング・ファーマ社の経営戦略に合致させました。その結果、再生医療の要である幹細胞研究は、バイエル・シエーリング・ファーマ社のR&D戦略に今後組み込まれないこととなりました。桜田一洋・神戸リサーチセンター長のリーダーシップの下、体性幹細胞研究に関して得られた素晴らしい成果に大変感謝しています。神戸リサーチセンターで開発されたこの画期的な技術は、将来、再生医療の分野で必ずやブレークスルーとなるでしょう。それゆえバイエルは、外部施設おいてこの研究の継続を望む研究者を支援します」と、バイエル・シエーリング・ファーマ社グローバル創薬研究本部長 アンドレアス・ブッシュは述べています。

開所時より神戸リサーチセンターに対し多大なご援助を賜りました、神戸市、理化学研究所発生再生科学総合研究所、先端医療センターならびに共同研究先に対し深く感謝しております。

iPSどうなる。